一人親方の労災保険の選び方

一人親方の労災保険に特別加入するためには、一人親方の団体に加入しないと加入できません。国で運営している労災保険ですから、補償内容はどこの団体でも同じです。

しかし、加入する団体によって特徴があり、サービスも様々なことは事実です。自分にあった団体を選ぶことが大変重要となってきます。

また、団体によっては無駄な出費や時間を使ったり、ケガや病気をしたときの「申請手続き」などで大きな差が出てきます。

労災保険に加入する時、押さえておきたい5つのポイント

最近ではインターネットでも簡単に加入できるようになってきました。

簡単に加入することができるからと言って、軽く考えてはいけません。あくまでも「一人親方を、その家族を守るためにある労災保険である」ことを忘れないようにしてください。

万が一があったときに、協力的でない団体に入ってしまったら最悪です。ここでは、加入する際に押さえておきたいポイントを紹介します。

目次

 

 

国の「承認」を受けているのか?

特別加入制度の労災保険は「厚生労働大臣」と「労働局」の承認を受けなければ、労災保険の取り扱いを行うことができません。

また「労働局」はその地域に拠点を置く「都道府県」でなくてはなりません。そして「承認」を受けようとしてもそう簡単には承認をしてくれるわけがありません。

簡単に言えば「国の労働災害保険の代理店」みたいなものです。

民間の保険代理店と違うのは「労働中に起きた病気やケガの事務処理」まで、労災を扱う団体が行わなければならず、その責任を負っているからです。

最近では「承認」ではなく「認可」や「許可」、などと言っているところがあるようですが、正確には「承認」ですので気を付けましょう。

また、「労働災害保険の上乗せ保険」もありますが、それはあくまで「民間企業」が扱っている保険です。「国の労働災害保険」を基礎としてさらに上乗せで保険を民間企業が扱っている保険です。

まずは特別加入制度の労災保険にはいりましょう。そして「厚生労働大臣承認」であること。「○○労働局承認」であることを確かめましょう。

認可や許可ではありません。「承認」ですのでご注意ください。

目次へ戻る

保険料が安い!を全面的に出していないか?

この労災保険は「国の保険制度」であり、一人親方を労働災害事故でおこる「経済的・精神的損失」から守る大変重要な保険制度です。

例えば、休業中の補償であったり、入院費用を出してくれたり、手術費用、薬費用まで面倒を見てくれるいわば「とてつもなく手厚い保険」です。(実費対象の医療行為以外は100%負担してくれます)

こんなに充実して手厚い保険制度は他国でもほとんどありません。日本の労働災害に対する保険制度は素晴らしいものだともいえるでしょう。

しかしながら、この制度を扱う団体でも「保険料がとっても安い!」などを全面的に宣伝している団体が最近増えているように見受けられます。国の保険ですから、どの団体が扱おうと「保険料」は均一に決められています。

では、なぜ団体によって「保険料」が違うのでしょうか?

それは「組合費」であったり「共済」であったりです。またその団体を維持していくための「運営費」だったりします。

つまり「保険料」が安いわけではなく「維持経費」を安くしているわけです。ですので、保険料が安いわけではなく、「保険料等」が安いのです。

だったら安いところに入ろう!と思うのが人間です。当たり前です。しかし、そう端的に決めないで「なぜ安い?どうして安い?」と疑問を持つことが大切です。安くできるには『それなりの何らかの理由』があると考えたほうが安全です。

その団体が加入者にさらなる福利サービスを提供したり、運営維持していくためには、それなりに「費用」がかかります。つまり、安いから良いというわけでありません。保障内容は同じだから安いほうが良いというわけではなく、保障内容は同じでも、その他のサービスがどう違うのかを考えたほうが良いでしょう。

また、この保険料は【全額控除】対象となっています。

毎年の3月15日までの確定申告。この労災保険の保険料は「社会保険料控除」で全額控除となります。また、保険料以外の費用は「必要経費」へ参入することができます。

ですので、結局のところは「控除」できてしまうので、安い!低額!ほかに比べて安価!という事に振り回されないようにしましょう。安いところを一生懸命探して、探すだけで時間と労力を使って疲れきってしまう。こんなことが無いようにしましょう。

こんな話もあります。安いから入ったけど、事故の時の事務処理代を高額に取られた。「その申請はさらにお金がかかります。書類を送りますので、手引きに従ってご自分で記入して申請してください」と言われた。

実はこれは不法行為ではありません。

何故なら「書類の取り付け、及び記載においては本人、若しくは代理人が行う」という事だからです。本人で書類に記載事項へ全部記載できれば「無料」であり、代理人に頼めば「有料」であることは言うまでもありません。

事故処理の「書類代行」はいくらかかるのか、また書類代行自体やっているのか。ここが重要なポイントです。

不安であればその団体に問い合わせして確認しておきましょう。

目次へ戻る

 

政治活動や集金業務、勧誘などがあるのか?

運営活動の一つとして上記のような活動が「義務」とされている組合や団体もあるようです。

例えば「勧誘活動」です。

これは、自分の知人を年に最低でも「1~2人」を入れるようにというノルマや指導があるという事です。

知人から加入すと、待っていること・・・それは「辞めるに辞め辛くなる」ことでしょう。どうしても辞めなければならない理由があったとしても、辞めることを伝えることが大変な負担になってしまいます。

また、誘うということは誘う側にも負担がかかります。日本人は「NO!]というのが苦手な国民性です。断るにも断りづらく、辞めるにも辞め辛くなる。負の連鎖が起こる可能性があります。

例えば「広報活動」です。

加入促進チラシを配り歩いたり、団体の活動に参加したりです。毎月の集会に参加したり、参加できない場合には、理由を考えなければいけません。さらに、不参加の連絡もしなければいけません。

これも日本人の特性ですが「おれ・・・仕事が大変だからその日は参加できないんだよ」すると「みんな仕事はしてるし大変なんだよね。君だけじゃないよ」となります。

例えば「政治活動」です。

選挙戦が始まると招集がかかり、活動に参加しなければなりません。これはすべて無報酬でやらねければいけません。応援したい政党でなくても「応援する」ことになります。

例えば「集金」です。

毎月、集金に決められた地区の加入者へ集金にいかなければいけません。また、お金がなくて未収納というわけにはいきません。相互扶助で成り立つ制度です。集金がない団体でも、自分で毎月収めに行かなければなりません。

その団体の組織意識を高めるため、また団結意識を高めるには必要な行動でしょう。

しかしながら一人親方は自分の腕で稼がないと生活していけません。本業はあくまで「建設にかかわる業務を営む者」です。

それ以外の活動が好きな方や、月に一回はみんなで集まることが好きな方は、時間や収入に余裕がある方は、このような団体を選びましょう。

そういう団体に加入するか否かは「自分次第」となります。

目次へ戻る

 

加入できる地域が明確化されているか?

さて、親方様が加入できる団体や組織はどこでしょう?

どの団体でも、どの地域にある団体でからでも加入できるというわけではありません。

なぜなら加入地域の設定は、その団体や組織が拠点となる県の「労働局」を通してからでしか「承認」が下りないからです。

例えば「東京都」に拠点を置くとなると「東京労働局」を通して「厚生労働大臣」が承認をおろします。そして「東京都に接している県」のみ取り扱いが許されます。基本、隣接県ではない場所に「居住」している方はその団体に加入したい!となってもは加入することはできません。

北海道に住所を置いている(居住している)が、京都に仕事に行くので「京都にある団体」に加入しよう!

それはできません。

また、労災は日本国内であれば利用できる保険制度ですが、団体によっては「使えない」とすることがあるようです。

自分の住んでいる場所から、どの団体で加入できるのか。

そして、日本全国どこでも利用できるのか、チェックしてから加入申請しましょう。

目次へ戻る

 

事務処理は迅速かつ丁寧か?

特別加入の労災保険では、たくさんの事務処理があります。

まず加入手続きです。親方から加入の申し込みがあると、担当の労働局・労働基準監督署へ加入の申請手続きを行います。

気を付けることは「どうしても今日から入りたい!」といっても、それは制度上無理、不可能という事です。

それなのに「大丈夫です!今日から加入できますよ。」という団体があったら、きちんと話を聞いてから加入しましょう。

申請の原則として「加入申請の翌日」が保険の適用日となります。ですので、今日加入したいといっても、土台無理な話なのです。

また、遅い時間に申し込んでも対応できないことがあるのも事実です。十分余裕をもって加入しましょう。

次に「加入証明書」です。実はこれには「発行義務」はありません。

ですので必ずしも「無いからおかしな団体だ!」とはなりません。しかしながら、なければ不安であることには違いありません。

ポイントは「加入証明書をサービスで出している団体」を選びましょう。

加入証明書が到着したら「氏名・住所・整理番号・労災保険番号・有効期限」を確認しましょう。また、団体名と連絡先が入っているかも確認しましょう。

事故が起きた時が一番大変です。事務処理も煩雑になります。その処理が迅速に行われているか?この判断基準は「社会保険労務士」のような専門の人がいるかどうかです。

必ずしも「専門家がいなければならない」という事ではありませんが、いたほうがより安心です。

前で述べたように「必要書類を送ります」と言って、何にも書いていない書類がおくられる場合があるようです。あとは自分で記入してください、なんてことになると大変です。記入するには有料!なんてこともあるようですので、加入する際は問い合わせをして聞いておくのもいいかもしれません。

入ってみなければわからないではなく、不安であればまずは問い合わせをしてみましょう。事故が起きて働けないという場合でも、迅速に対応できるかどうかです。

その団体によってサービスも違います。聞いてみるのが一番なのは言うまでもありません。

問い合わせをしたからと言って、加入しなければならないとはなりませんので安心して聞いてみましょう。

目次へ戻る

 

いかがでしたか?

ここまでの5つのポイントを参考にして、自分にあった団体を選んでみてください。

また、以下記載の点は、特に問い合わせが多く「こんな活動等をさせられている」という点を記載しています。

参考にしてみてくださいね。

ページトップへ戻る