政府労災と任意労災

一人親方の労災保険は「政府労災」です。問い合わせでよくあるのが「東北労災の労災保険は民間のですか?」という質問です。ここでは一人親方に特化して「政府労災」と「任意労災」の説明をしています。一人で頑張っている親方にとって大切な事ですので、ぜひ参考にしてみてください。

政府労災とは?

正式名称を「労働者災害補償保険」と言い、一人親方の労災保険の正式名称を「第二種特別加入制度の労働災害補償保険」と言います。政府労災は、労働者が業務上の事由、または通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不幸にも死亡された場合に「被災労働者や遺族」を保護するために必要な保険給付を行うものです。

厚生労働省のホームページにも記載されていますが、法規的な表し方ですので少々難しい言葉になっています。

簡単に言えば「労働者が仕事をしていて、その仕事が原因でケガや病気になった時に、国が当事者とその遺族を助ける」ための保険を「労災保険」と言います。大切なのは助けてくれる人は誰なの?という事です。

政府労災は「国」が助けてくれるという事です。

政府労災の補償内容

国が補償してくれるため、その保険金給付内容は多岐にわたります。

下記の表を参考にしてみてください。

保険給付の種類 支給事由 給付内容 特別支給金・参考
 療養補償給付
※療養給付
業務災害または通勤災害による傷病について、病院で治療する場合 労災病院または労災指定病院等において必要な治療が無料で受けられます。また労災病院または労災指定病院等以外の病院においては、治療に要した費用が支給されます。 特別支給金はありません。
給付基礎日額とは関係なく治療が無料で受けられます。
 休業補償給付
※休業給付
業務災害または通勤災害による傷病の療養のため労働することができない日が4日以上となった場合 休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額が支給されます。 休業特別支給金   休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の 20%相当額を支給。
障害補償給付
※障害給付
〔障害(補償)年金〕業務災害または通勤災害による傷病が治った後に障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残った場合
〔障害(補償)一時金〕 業務災害または通勤災害による傷病が治った後に障害 等級第8級から第14級までに該当する障害が残った場合
〔障害(補償)年金の場合〕 第1級は給付基礎日額の313日分~第7級は給付基礎日額の131日 分が支給されます。
〔障害(補償)一時金の場合〕 第8級は給付基礎日額の503日分 ~第14級は給付基礎日額の56日分が支給されます。
障害特別支給金   第1級342万円~第14級8万円を一時金として支給。
給付基礎日額連動
傷病補償年金
※傷病年金
業務災害または通勤災害による傷病が療養開始後1年6 か月を経過した日または同日後において ①傷病が治っていないこと ②傷病による障害の程度が傷病等級に該当することのいずれにも該当する場合 第1級は給付基礎日額の313日分、 第2級は給付基礎日額の277日分、第3級は給付基礎日額の245日分が支給されます。 傷病特別支金    第1級は114万円   第2級は107万円   第3級は100万円   を一時金として支給。
給付基礎日額連動
遺族補償給付
※遺族給付
〔遺族(補償)年金〕業務災害または通勤災害により死亡した場合(年金額は遺族の人数に応じて異なります)
〔遺族(補償)一時金〕 ①遺族(補償)年金の受給資格をもつ遺族がいない場合 ②遺族(補償)年金を受けている方が失権し、かつ、他に遺族(補償)年金の受給資格をもつ方がいない場合で、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合
〔遺族(補償)年金の場合〕遺族の人数によって支給される額が異なります。(遺族1人の場合)給付基礎日額の153日分または175日分(遺族2人の場合)給付基礎日額の201日分(遺族3人の場合)給付基礎日額の223日分(遺族4人以上の場合)給付基礎日額の245日分
〔遺族(補償)一時金の場合〕左欄の①の場合 給付基礎日額の1000日分 左欄の②の場合 給付基礎日額の1000日分からすでに支給した年金の合計額を差し引いた額
遺族特別支給金   遺族の人数にかかわらず300万円を一時金として支給
給付基礎日額連動
葬祭料
※葬祭給付
業務災害または通勤災害により死亡した方の葬祭を行う場合 31万5千円に給付基礎日額の30日分を加えた額または給付基礎日額の60日分のいずれか高い方が支給されます。 特別支給金はありません。
給付基礎日額連動
介護補償給付
※介護給付
業務災害または通勤災害により、障害(補償)年金または 傷病(補償)年金を受給している方のうち、一定の障害を有する方で現に介護を受けている場合 介護の費用として支出した額(上限額があります)が支給されます。親族等の介護を受けている方で、介護の費用を支出していない場合または支出した額が最低保障額を下回る場合は一律にその最低保障額が支給されます。上限額および最低保障額は、常時介護と随時介護の場合で異なります。 特別支給金はありません。
給付基礎日額とは関係なく治療が無料で受けられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※厚生労働省の特別加入制度のしおりより抜粋
このように、沢山の補償を受ける事ができます。これをすべて頭に入れておくことは不可能です。
ですので、このように覚えておくのが良いでしょう。
「労災保険は、病院治療が無料!4日以上仕事ができない時は、日額給付額の約60%~80%が休んだ日数もらえる。万が一亡くなった時でも遺族に葬儀代や保険金が出る」
政府労災は「国」が補償する制度ですあり、一人親方の労災保険は「国」の補償制度という事を覚えておきましょう。

任意労災とは?

任意労災とは「民間」が運営する保険の事です。ですからあくまで個人が入るかどうかを決定し、民間の保険会社へ申込をする保険です。

「政府労災」と違って保険を担う(保険者)ものは「民間企業」となりますので、その商品内容も様々です。ですから、保険内容をよく吟味し、自分に合った保険を選択し、自分に合った保険会社を選びましょう。

任意労災の補償内容は?

任意労災の事を「労災上乗せ保険」と表しますが、どちらも同じです。では、なぜ労災上乗せ保険というのか?それは、ほとんどが「政府労災」加入を前提として、政府労災が適応された時に(労災認定)保険給付ができるようになっているからでしょう。

つまり、労災認定されたら保険給付を行うから「労災上乗せ保険」と表したのでしょう。

では、その補償内容は?

実は、先に述べたように、各保険会社によって補償内容が違うため、ここで説明することはできません。上乗せ労災保険は、政府労災で補償が足りない部分を補う意味で検討するのが良いでしょう。

例えば、療養補償給付などは、治療費を全額カバーします。(100%支給)そのため、病院での治療費は一切負担が無いため、ここは足りない補償というのはありません。しかしながら、先進医療や自由診療はその対象にならない時もあるため、不足分をカバーする意味や、その他の休業補償費や治療のための交通費などを検討してみましょう。

また、万が一の時の生活補償や障害が残った時の補償を補うのも良いかもしれません。

今では、労災認定がされなくてもケガや病気で給付される保険もあります。通常の医療保険や傷害保険とは違い、労働中のケガや病気でのみ給付されるため、保険料が安めに設定されている場合が多いようです。

どちらにせよ、政府労災の保険料の他に、保険料はかかりますので、自分の収支をよく検討してからにしましょう。支払いができなければ、保険が停止しますので本末転倒になってしまいます。政府労災は沢山の補償がついてますが、任意労災と違って格安な保険料で加入できます。任意労災を検討すのであれば、政府労災の給付でもの足りないと思ったら、上乗せ保険に加入するという考えでいてくださいね。

まとめ

いかがでしたか?

政府労災は、保険者が「国」であること。任意労災は、保険者が「民間」であることで判断できます。また、政府労災は、補償内容からみて保険料が格安であること。任意労災は保険料がそれに比べて少々高いと思ってよいでしょう。そして、政府労災で足りない部分を補う上で検討するのが、任意労災だと思って良いでしょう。

いずれにせよ、政府労災に加入してから検討をするのが任意労災だということ。

一人親方は自分で自分の身を守らなければいけません。まずは政府労災(一人親方の労働災害補償保険)に加入をしましょうね。

ページトップへ戻る